ひょうたんの性質と栽培法

性 質:原産地はアフリカ〜熱帯アジアです。原産地の気候に合う高 温と強い光が大好きで、排水のよい肥沃な土を好みます。 茎は日に10p以上も伸長し、たちまち棚上を覆います。 低温と台風にはとても弱く、成長が止まったり、葉がなくなった りします。主な病気や害虫は、連作障害の原因であるツル割れ病や ネコブセンチュウ、葉や果実をモリモリ食べるアオムシ (ウリキン ウワバの幼虫) 、葉を真っ白にする“うどんこ病”などです。 ヒョウタン作りのコツは、(1)土つくり、(2)枝の管理と人工受粉、 (3)病害虫との戦いであり、手をかけただけの効果が得られます    ・・・夏の風物詩が、ブラブラと・・・。

栽 培 法:

1.植える場所・土つくり   よく陽の当たる場所を選び、秋から冬にかけて『土作り』を行い ます。ひょうたんが旺盛に育つような土を準備しておきましょう。 具体的には、堆肥や腐葉土、鶏糞、米ぬか、苦土石灰などを土中 に投入し、何回か深耕して、フワフワの土にします。土を起こす深 さは30〜50p、地面は1本あたり2〜4u以上準備して下さい。 

2.種まき・育苗・棚・わき芽かき・摘芯

春に行う種まきや育苗は、温度 (20〜25℃) の確保が必要です。 種まきから定植まで、約1ヵ月。定植から着果まで約1ヵ月半、果 実の成熟に1ヵ月半〜2ヶ月かかります。種まきは4月上旬、定植 は本葉が3枚の頃に行うが基準です。

巨大ヒョウタンを狙うなら、棚はしっかりしたものを作りましょ う。『10sを超える果実ができたけど、棚がつぶれた!』では、泣 きの涙です。

主茎(親蔓)がのびて、棚に届くまでの間に出てくるわき芽は全 て除去します。棚上での枝の管理方法は栽培品種によって違います ので、表「品種によって異なる栽培法のポイント」および図「ツルの管理」を参考に摘芯や誘引をして下さい。  また、全ての葉に光がよく当たるように蔓を誘引するとともに、弱い枝は付け根から切除します。

 

3.開花・人工授粉・果実の成長

ひょうたんには雄花と雌花があり、夕方に咲きます。

雌花は枝(子蔓・孫蔓・曾孫蔓)の第1〜第3節に着き、他の節 (親蔓の各節や子蔓・孫蔓の先の方)には雄花のみが着きます。

確実に果実をつけるには、雄花をとって花びらをはずし、おしべ の先を雌花の柱頭につけ、受粉を助けます。これを人工授粉と呼び ます。自然状態では、夜に活動する『ガ』が授粉しています。

果実の生長期が盛夏であれば、完熟果実が得られますが、着果が 遅れたり、葉が病気や害虫の被害にあった場合は、熟さないので、 保存のきく完成品が出来ません。

 

4.果実の支え

ひょうたんの果実はとても重く、中型種以上の場合は、果実の重 みで蔓が引き下げられます。そのままにしておくと蔓を痛めたり、 果実が落下しますので、何らかの支えが必要です。

最も簡単で確実な支持方法は、ひょうたんの柄の部分 (この部分 は繊維質で、非常に強い) を太めのロープでグルグル巻いて、その ロープを支柱に縛る方法です。どんなに重い果実でも、この方法で 十分に支えることができ、台座は不要です。

 

5.収穫の時期・完熟の見分け方

秋風が立ちはじめ、葉の勢いが衰えた頃、果実を収穫します。果 実が完全に熟しきっていないと、次の仕上げの段階である中身や皮 を腐らせるときに殻が崩れてしまいます。    完熟かどうかは、(1)受粉後の日数(4ページの表参照)、(2)叩いた時 の感触(スイカを叩く要領で)で殻の固さの確認、(3)持ち上げたと き「随分軽くなった」と感じる・・・などを調べて判断します。   収穫時期が遅れても全く問題はありません。採り急いで『未熟』 なものを切り取った場合は、あとで悔やむことになります。

 

6.中身の除去・仕上げ

果実の中の種子は、次のようにして取り出します。

「ひょうたん仕上げと加工」を参照してください。

種が出る程度の穴(直径 0.7〜1.5cm)を電動ドリルに木工用の刃 を用いて開けます。その穴に“少量の土”(腐敗菌を多く含んでい る)を入れ、棒で中身を突き、そして水を注入します。

中〜大型のひょうたんの場合は、暖かい場所の地面に立てておき 時々水を補給します。約1週間で瓢箪内部の軟らかい部分が腐って 中身はグズグズになります。逆さにして振ると種子と共に腐った中 身が出てきます。

中身を取り出したあと、中に水を満たし、水槽の底に沈めます。 こうして中身の全部と薄い表皮など腐るべきものは全て腐らせます  小型のひょうたんの場合は、まとめて土嚢袋に入れて、袋ごと水 に沈め、内部も薄皮も同時に腐らせます。ひょうたんを腐らせると き、あるいは中身を取り出す際に発生する臭気は、独特で強烈な悪 臭です。近所から嫌われないように注意して下さい。  表皮の薄皮と中身の除去が終わったら“アク抜き”をします。き れいな水に1〜2週間漬け、途中、何回か水を交換します。     水から上げて、スポンジ等で拭き、逆さにして乾燥させます。

乾燥させたひょうたんは永久保存できます。

7.加 工

次は加工の楽しみです。何もしなくても素肌の美しさを楽しめま す。漆を塗ったり、絵を描いたり、種々の加工をすることが、秋か ら冬の間の楽しみとして待っています。

 


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ジャンボひょうたん会 栽培マニュアル 改訂版(第4版) 1997.4
上記より、許可を得て転載
WEB用に加筆・訂正 ジャンボひょうたん会 会長 大槻 義昭 2000.5
HTML版 制作 常見 俊直