ひょうたん 仕上げと加工

仕上げとは
「食べられない」果実であるひょうたんは収穫が次の作業のスタートとなります。志賀直哉の「清兵衛とひょうたん」のように愛玩用・観賞用として楽しむためには仕上げの作業が必要です。「仕上げ」とは、中身(タネなど)と表面の薄皮を完全に除去して、殻の部分を乾燥させるまでの作業のことをいいます。

タネ出しの原理


ひょうたんのタネは下の膨らみの柔組織を溶かしてタネを取り出すことになります。「柔組織を溶かす」のは、わかりやすくいうと「腐らせる」ことです。中身が腐ってドロドロになったら、逆さにして上下に振ると、タネは腐ったヘドロと一緒に出てきます。
腐らせるのに必要な期間は温度に左右され、気温が高い初秋のころでは、短期間で腐りますが、気温が下がると遅くなります。

仕上げの作業の流れ
図の矢印の順序で作業を進めます。
円形のきれいな穴を空けるには電気ドリルが必需品です。これに木工用の刃を取り付けて使います(写真1,2)、明けた穴に少量の土を入れ棒で突くのは、「腐敗菌のタネを入れる」と考えて下さい。どこの土でもかまいません。

A〜Dの一段階法は、中身と表皮を同時に腐らせる方法で、小型のひょうたんの処理に向いています。Cのタネ出しでは、水流利用の方法(写真4)が効果的です。
(1)〜(6)の二段階法は、大型ひょうたん向きです。大きな果実を最初から水に漬けるのでなく、まず暖かい場所に置いて中身だけを腐らせ、タネを取り出した後、水に漬け、表皮や内壁を腐らせる方法です。

水流によるタネ出し法
写真4のように、小型ひょうたんの口の部分に細い水流を勢いよく当てると、タネが飛び出します。この作業の前に、ひょうたんを強く振り、水溶物を出しておいてください。

周りの人から孤立しないために
一連の作業で最大の問題は、腐ったひょうたんから発生する独特の悪臭です。家の中での作業なんて、とんでもない話で、野外作業も悪臭への対策が必要です。
(1)腐らせる時は容器に蓋をする。
(2)タネ出し作業は、風のある日に行う。
(3)濃い腐敗液は土に掘った穴、あるいは水洗トイレに流す(固形物以外)。
(4)ゴムの手袋をはめ、流水の中で表面をこすった後で、ひょうたんを取り出す。不注意に素手でやると、後で後悔しますよ。
(5)仕上げの水漬けは念入りに。

バイオひょうたんごっこ
サカタのタネで販売している製品で、ひょうたんの中身を1〜2日で溶かす酵素です。悪臭がほとんど出ないので風呂場での作業が可能です。

 


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ジャンボひょうたん会 栽培マニュアル 改訂版(第4版) 1997.4
上記より、許可を得て転載
WEB用に加筆・訂正 ジャンボひょうたん会 会長 大槻 義昭 2000.5
HTML版 制作 常見 俊直