造 形 

(高橋 保一)


或る一つの目的(発想、着想、色彩、技巧など)によって、形のあるものを造ること。
                                         
  日常、私達が生活の中で周囲を見ると、これすべて造形であり、また、美的作品ばかりである。常日頃、何事にも興味をもつ心がけが大切である。造形には総体的なバランスが大切である。そして、その中に自分の心(主眼点)を何処におくかである。それなりの技巧や色彩感覚も大切である。
  瓢箪が基本的な材料であるため、言わば既に形が出来ている。このことを作品のどこかに明示すべきであると思う。 
  私の作品を例にして、図の作意を述べる。
  『黒髪の女』の発想は、テレビファッションショーを見て、ふと目に止まった。
  作品を製作中、孫がこれを見て、「じいちゃん、この人形さん、片手ないよ」と言ったが、私も初めから片手にするつもりはなかった。製作を続けるうちに、無くてもよいと思えるようになった。何故か。それは、私がこの作品を通して主張したいのは黒髪であり、髪の後ろに手を付けると黒髪の存在感が弱くなると思ったからである。顔はあえて書かなかった。見る人の想像に委ねるつもりである。
  いま一つ、瓢箪について、日頃感じていることは、瓢箪の触感覚的美(我流用語)である。あの角(カド)のない、何とも言えないまろやかさ、そして軽やかさ、外気に支配されない温もりと爽やかさ、何となく安らぎを感じる外に余り類を見ないものである。瓢箪を見て腹をたてる人はいないであろう。そして、また幾星霜を経た瓢箪ほど心が和む。 

作品例




黒髪の女 成人  

 


 

 


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