塗装・研磨

(内山 英雄)

 

1. 塗 料
 
1) カシュー塗料
 

西インドなどに産するカシューの木の皮からとれる樹脂を主成分とする塗料である。

<特徴>
a 塗膜は非常に硬く、強靱で優美、しかも弾力に富んでいる。
b 光沢は、他種の塗料の追随を許さない。
c 密着力が強く、耐水、耐熱、耐油、耐溶剤性に富んでいる。
d 自然乾燥でも、焼付けと等しい堅牢塗膜が得られる。
e 使用法は簡単で、刷毛、スプレー等のいずれでも溶剤を替えただけで優美な塗膜ができる。

<使用法>
a 刷毛塗りの場合は、カシューシンナー(カシュー薄め液)で適度に薄めて使用する。
(通常、15〜25%位が適当。立面塗装と平面塗装では、自らその濃度は異なる。)
b 瓢箪に塗る場合は、立面塗装が多いので、うすめ過ぎると流れる。
c 自然乾燥の場合、室温20℃で指触乾燥で3〜4時間、硬化乾燥で12〜15時間。
(濃度にも関係するが、研ぎ出し瓢の場合は、24時間を確保した方が無難である。)

<各種の塗料>

 

2) スプレー塗料
   スプレー式の塗料は乾燥までの時間が比較的短いものが多い。目的にあったものを選ぶことが大切である。主なものの特徴を示す。
a 水性非危険物スプレー
  水溶性アクリル樹脂をベースとしたエナメル仕上げで、安全性が高く、仕上がり面の光沢もよい。40〜50分で乾く。
b ラッカースプレー
  アクリル樹脂を加えて性能を高めたアクリルラッカーが多い。乾燥が非常に速く、塗膜も硬い。
ただし、溶剤が強く下地を侵すことがあるので注意を要する。10〜30分で乾く。
c エナメルスプレー
  ラッカースプレーよりも塗膜が厚く、光沢もよい。しかも、広い面積に塗れるという特徴がある。ただし、乾燥時間は30分〜1時間と若干長い。

<種々のうすめ液>

 

3) ベンガラ(弁柄・紅殻)
 
a インド赤、ベネチアン赤、ターキー赤、鉄朱、鉄丹などと呼ばれる。酸化鉄を主体とする赤色無機顔料。
b ベンガラの種類は、黄、橙、赤、褐などの色がある。これら酸化鉄系顔料の色調、性質は製法、製造条件により多様である。
c 材用としては、α-Fe2O3の赤色系が多く使用される。色材としては耐光・耐薬品性・耐熱性が高く、毒性もなく、用途が広い。
d

<ベンガラ>の名はインドのベンガルに産したことに由来し、赤色顔料としては、朱とともに最も古くから用いられた。墳墓の彩色、土器埴輪、壁画、寺院建築などの装飾に用いられた。

 

2. サンドペーパー
 
1) サンドペーパー(紙ヤスリ)
  粒の粗い方から細かい方へと使用する。平面を磨くときは、板切れに巻いて用いると仕上がりがよい。粒度(JIS規格)は40〜600 番まで。粗:40〜80、中:100 〜150 、仕上げ:180〜600 番(注:粒度は「番」あるいは「#」で表す。)
2) 耐水サンドペーパー
  硬質木材の研磨、塗装面の水研ぎ用。粒度は60〜2000番まで。粗:60〜180 、中: 220〜320、仕上げ: 360〜2000番。 板切れ等に巻きつけて、力を加えやすいようにして研ぐ。
3) サンドクロス(布ヤスリ)
  クラフト紙の代わりに布を用いたもの。木材、鋼材の研磨用。粒度は40〜400 番まで。粗:24〜80、中:100〜150 、仕上げ:180〜400 番

 


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