加工前処理

(斎藤 精三郎 内山英雄)

 

1. 仕上げ段階における注意事項とその対策
 

 瓢面に書画を描いたり、焼き絵に供する予定のひょうたんは、乾燥時点で素肌が白く美しいことが条件である。そのような瓢箪に仕上げるためには、傷物ひょうたんでないことは勿論であるが、収穫した瓢箪の水漬けや乾燥工程の段階で、充分な注意して行うことが必要である。

1) 完全に水に浸し、水面上に露出させないこと。空気に触れた部分は黒く変色する。
2) 水漬けの際、鉄分の出る容器は絶対に使用しないこと。瓢箪が黒く変色する。
3) 『あく抜き』を十分に行うこと。不十分な場合は、シミが浮き出し、また、褐色に変色しやすい。
4) 乾燥の際、時間がかかると、カビが発生することがあるので、空中湿度を考慮に入れて乾燥工程に入り、なるべく早く乾燥させるようにする。もし、長雨等にぶつかり、なかなか乾かない場合は、扇風機の風を送り続けると一定の効果が望める。狭い空間での除湿器の使用が可能であれば、特大瓢でも天候に関係なく、2〜3日で乾燥させることができる。
2. 書や絵画を書く前に
  素瓢の表面には、微細な穴があいている。書や絵画を書く前に、この穴を埋めておく必要がある。これをやらないで、墨や絵の具が入ると、後でいくら良く拭き取っても、瓢箪の面は元の肌には戻らず、製作は失敗に終わる。その防止法として、予め瓢箪の表面にスプレー式の透明塗料(例 ラッカースプレーのクリヤー艶なし)を塗って穴をふさいでおく。やり方は、塗料を瓢箪の表面に軽く吹きつけ、乾いたら布(何でもよい)で擦り、表面の艶を消す(書画の項参照)。
3. 事前に瓢面を滑らかにしておく
   ケロイド跡、引っかき傷等がある傷物瓢箪を、沈金技法、彫刻等の加工に用いる場合は、瓢面を滑らかにしておく必要がある。サンドペーパーを用いて、粗いものでの研磨から始め、順次、細かいものに替えて、丁寧に研磨する。

 

 


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