皮 貼 り

(伊藤 和子)


概要

  未熟の瓢箪などに適用する。皮の特質としては、湿らせば伸び縮みが比較的自由であることで、貼った後の皺になるのを防ぐことができ、瓢箪の丸みには貼り易い。また、皮の持つ感触、風格等、独特のものがあり、染色も自由にできる利点がある。なお、組み合わせることで、表現の広がりを楽しむことができる。


皮染め(ろうけつ染め

1) 水刷毛の仕方
  数枚の新聞紙を広げて重ね、水刷毛で皮の表に平均に水を掃き、裏まで通るくらいにする。湿り気の程度は、皮を軽く押さえて水がにじむ程度だと濡れ過ぎで、蝋が剥がれてしまう。また、全体に平均に湿っていなければ皮が焦げてしまう。余分な水分はティッシュペーパーで吸い取る。
2) 蝋置き
  蝋の温度がぬるいうちに、蝋筆を入れて慣らす。
 蝋の温度が 130℃位(煙が立ち始めたころ)が適当。
 トレーシングペーパーに模様を写し、皮の上に載せる。その上にセロハン紙を載せ、動かないようにして、ボールペン・鉄筆等で、その上をなぞって皮に線をつける。蝋筆に蝋をたっぷり含ませ、垂れない程度に先だけ鍋の縁で蝋を切り、防染する部分に蝋を置いていく。厚さが平均になるようにする。
3) 染料塗り
  染料は、薄めの色から何回も塗り重ねると良い。染料は、刷毛にたっぷり含ませて、垂れない程度に先を切って平均に塗る。横が濡れたら、方向を変えて塗る。
4) ひび割り・蝋落とし
  氷を表面に当てて冷し、皮の下にそっと手を当てて、右手の指2本で蝋を上を軽く押さえるとひびが入る。入れたひびは、終いまで伸ばし、ひび同志がつながるようにする。指の方向を変えることで縦横に思いのままに入れる。ひびが細かくならないように注意する。
 水洗いは、夏は氷水等、低い温度の水で蝋を充分に落とす。
5) モデラ
 
染め上がって、水洗いが済んだら、新聞紙に挟んで、上から足で踏んで水分を取る。
ガラスかプラスチックの板の上に広げて乾かす。
皮用ラッカー(シンナーで薄める)を塗り、出来上がる。



皮を貼る

1) 瓢箪の大きさ・形に合わせて、中央のくびれで上下に分け、紙で型紙を作る。
2) 瓢箪にボンドを塗る。
3) 皮を湿らせ、瓢箪の太い部分から貼っていく(裏側へつなぎ目をもっていく)。
片側は模様に沿って切り、反対側は貼った後にカッターで内合わせになるように切って、ボンドで貼り目が目立たなくなるようにする。   
4) 底やくびれの部分は、皮に余分な部分が出てくるので、湿り気を利用して縮めたり、切り込みを入れたりして、貼り目が目立たないように貼っていく。

 

 


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