墨 流 し

(内山 英雄 )




概要

  何色かの油性の塗料を水面に広げて模様をつくらせ、それを瓢面に移動させる技法である。
  風呂の中でタオルを広げて浮かせ、その中央部を握りこぶしで沈めると、広がっていたタオルが、手のまわりにピタリと巻きつく。この広がったタオルが流した塗膜であり、握りこぶしが瓢箪であると置き換えて考えるとよい。

材料・用具

1) 棒に固定した瓢箪
  瓢箪に長め(瓢箪の長さの2倍以上)の棒を抜けないように挿し込んでおく。百成以上の瓢箪の場合、砂を半分位入れて重くしておく。初心者は、ミニ瓢箪や千成瓢箪から始めるとよい。
2) 容器
  瓢箪を容器に入れて、十分潜る容量の容器が必要。容器の水面が、瓢箪の全表面積の3倍位はほしい。千成・百成程度であればバケツでよい。これに水を八分目程入れておく。
3) 塗料
  水面に塗膜を作る。カシューが最も適している。1回に用意する色は4色以内。
4) 割り箸
  塗料を水面に落とすときに用いる。最小限、使用する色の数だけ欲しい。出来ればその倍位用意するとよい。割り箸の先端は細く尖らせておく。
5) 細い板
  塗料を落とす前に、水面を回転させるのに用いる。幅4〜5cm, 長さ30〜40 cm の板。

 

作業手順


1) 塗料の濃度の調整(塗料缶に箸を入れ、持ち上げたときに細い糸を引く程度の濃度に)
2) 容器の中の水を、底部から水が回転するように軽く回す。
3) 水が回転しているうちに、用意した何色かの塗料を次々と水面に落としていく。
4) 各色を落とし終えたら、息を吹きかけ、塗料がまんべんなく広がるようにする。
5) 水面の回転が止まり、全面に塗料の膜が出来たら、棒に挿した瓢箪を入れる。
(瓢箪はゆっくり回しながら垂直に沈めていく。沈める早さで模様が変化する。)
6) 余分な塗料膜の除去(瓢箪を完全に沈めると、水面上の余分の塗膜が瓢箪の上に集まるので、息を吹きかけて散らし、素早く瓢箪を引き上げる。)
7) 瓢面上の水泡の除去(固定している棒を竹トンボの要領で回転させる。)
8) 棒を支持台(発泡スチロールなど)に立て、乾燥させる(約1日)。

 

注意・参考


1) 素肌に汚れのある瓢箪の場合は、あらかじめ暗色(黒・青・紺等)のカシューで下塗りをする。
2) 一つの瓢箪を処理した後、水面に残った余分の塗料は、広げた新聞紙を水面に落とすことにより除くことができる。また、容器の周りに付着した塗料は、灯油で拭き取る。
3) 暖系色(赤・朱・黄)は塗料膜が拡散しやすいが、暗系色は拡散しにくいため、濃度を下げて使用する。
4) 思うように塗料を付着させることが出来なかった場合は、直ちに灯油で拭き取れば、再度、使用できる。
5)

乾燥後の表面処理は無用である。

 

 


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