たたき技法による研ぎ出し

(内山 英雄)

    

概要


 一般的な研ぎ出し瓢の場合、瓢自体の有する凹凸で模様が出来るが、この場合は、概して大きな模様になる。ここでは、パテを塗ることによって人工的な凹凸を造り、これを土台にして、前ページの研ぎ出しを施す。これにより、細かな模様、意図的な模様を出すことができる。
 

材料・用具

  一般的な研ぎ出し瓢のところに掲げたものの他、次のものを用意する。
      1)パテ    2)こねる容器    3)こねるヘラ(棒)
          

作業手順


1) 瓢の口に棒を挿して固定する。
2) 粉末のパテに少々水を入れて、耳たぶよりやや軟らかく、よく練る。
 
・  練るほどに粘りが出て、よい凹凸(山)が出来る。
このとき、水を控えて、木工ボンドを溶かしたものを入れると、出来た凹凸(山)が硬めになってよい。
3) 瓢を持って、よく練ったパテを指の腹につけて瓢の尻の方から順次こすりつけ、指腹で叩くと、粘りがあるから山が出来ていく。同様にして瓢全体に山を作って、スタンドに立てて乾燥を待つ。
技法的には「パテを塗る」というより、「パテをこすりつける」と言った方が適切である。

パテの厚さで山の高さが異なる。なるべく薄い方がよい。

   
4) 山の頂上(先端のトンガリ)を落とす。
  320#のヤスリで山の先端をすり落とす(水をつけない。)
5) 塗装する。
  以下の作業工程は、一般の研ぎ出し瓢に準ずる。
          

参考


1) パテは表具店、室内装飾店などに発注する(メジトップ60がよい。)
2) パテの色は、白または黄色が多い。研ぎ出していくと必ずパテが顔を出すので、白または黄色の斑点が出てくる。これを避けるために、練る段階でパテを着色しておいた方がよい。
3) 着色は、水溶性のものであれば良い(例 絵の具、茶粉、ベンガラ)
4) 着色した場合は、この色を「初回の色」として、これ以降の色の順序を考えなければならない。
5) 特に最終の色は、着色したパテの色との対比を考えて決める。
   
写真説明:・叩き技法の一次加工
叩き終えたところ。細かな突起を人工的に作ったところ。

 


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